ここる訪問看護ステーション

知っていますか“プレパレーション”

プレパレーションとは一般的には準備、予習、心構えを意味する言葉ですが、小児医療においてこの言葉は、「子どもたちが医療を受ける際の心の準備を手助けすること」を意味します。大人が思う以上に、子どもたちにとって病院は非日常です。とても怖い場所というイメージを抱くかもしれません。病院を嫌がる子どもを受診させるのに苦労されている親御さんも多いのではないでしょうか。そういった子どもたちには受診前のプレパレーションがとても役に立ちます。

そこで、小児病棟と小児科クリニックを経験した看護師から、ご家庭でできるプレパレーションをご紹介したいと思います。安心できる自宅で、最も信頼する家族に行ってもらうプレパレーションは医療者が行う以上に有効なこともあります。発達に特性のあるお子さんは特に、予測できない状況に強い不安や拒否反応を示す子も多いと思いますので、参考にしてみてください。

今回は予防接種(注射)を例にあげて解説をします。

年齢別のプレパレーション

0~1歳

この時期はまだ言葉での説明が難しいので、ディストラクション(医療処置から気をそらせることで不安を軽減する)が有効です。好きなキャラクターグッズやおもちゃがあれば持参すると良いです。

2~5歳

言葉がわかるようになってきたら、お子さんにもよりますが当日~2・3日前に病院に行くことと目的を説明してください。

例えば、予防接種の予定がある場合は「今日は病院に注射をしにいくよ。注射するときは1・2・3って数えるあいだお薬が入る場所(大抵は腕)が痛いけど、すぐ終わるよ。注射のお薬がばい菌から体を守ってくれるんだよ」といった説明をします。

また、病院の描写のある絵本や病院ごっこ遊びを日常の中に取り入れるのも効果的です。この時期の絵本ですと、『ノンタンはっくしょん』や『ノンタンがんばるもん』がおすすめです。

6歳以上

基本的には上記の2~5歳と同じですが、プレパレーションのタイミングは少し早め(1週間ほど)が良いです。また、説明する内容は理解度に応じてより詳しくすると良いでしょう。例えば、予防接種の名前(麻疹・風疹など)とどんな病気を防ぐためなのか、もし罹ってしまったらどんな症状がでるのかなど。もし、ご家族も未経験の検査や処置を受ける場合は親子で一緒に調べてみるのも良いかもしれません。受診の際に医師や看護師に質問しても大丈夫です。

大切なポイント

●幼児語ではなくできるだけ正しい名前を使う:例えば注射のことは『チックン』と呼ばず、『注射』と呼ぶことをおすすめします。チックンという言い方にはそもそも『チクっとする』=『痛そう』というイメージが伴いますし、大人同士では注射と呼ぶので、知らない言葉に不安になることもあります。また、言語発達の面でも最初から正しい言葉を覚えた方が良いです。

●嘘をつかず正しい情報を伝える:痛みを伴う処置の場合はきちんと伝えます。ただ、痛いことを伝えるだけではなく、どれくらいの時間どこが痛いか、痛みを和らげるためにはどうしたらいいか、を説明すると子どもは前向きにとらえてくれることが多いです。例えば注射の場合、「腕の力を抜いて口から息をゆっくりフ―っと吐くといいよ」「動いた方が痛くなるから、じっとしていようね」と伝え、注射のときに一緒に息を吐くよう声をかけると「あんまりいたくなかった!」と言ってくれる子も多くいました。

●落ち着いた時に落ち着ける場所で行う:プレパレーションを行うときは話をしやすい環境が大切です。お子さんの心が安定しているタイミングで安心できるご自宅などで行ってください。

●子どもの反応を尊重する:丁寧に説明しても泣いて嫌がってしまうこともあります。そういった時はその気持ちを否定せず、泣いていいこと、泣きながらでも処置を終えられてよくがんばったことを伝えてあげてください。

最後に

お子さんが前向きに受診できると、小児科の医師やスタッフはきっと盛大に褒めてくれます。そして、頑張れた自分に自信が持てると次回も前向きに取り組めるという好循環につながっていきます。プレパレーションが広まることで、日々子育てに取り組んでいるご家族と、病院を怖がる子どもたちの心の負担が少しでも軽くなると嬉しく思います。

訪問看護をご利用いただく際には、「病院嫌いで困っている」「はじめての検査で心配」といったお悩みも気軽にご相談ください。

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